02/25 aiueo 01/01 かがみ 01/01 ゼルプスト殿下 01/01 かがみ 01/01 ゼルプスト殿下 05/10 かがみ
先週の週末から今日まで、とにかく PC やネットワークに関することが色々あ りました。
MacOSX が新しくなったのとレンタルサーバーへの移行は良いとして、ご家族さ ま PC のウイルスと ADSL モデムが壊れたのは少々余計です。そもそも最近ネッ トワークの調子が悪く、ご家族さま PC のウイルスがパケットを出しまくった せいかと思っていましたが、単に ADSL モデムの不調度が徐々に悪化していた のが原因と思われます。
その後不調になる頻度が高くなりました (笑)
再現の頻度が段々増えてきたので、モデム内のメモリー不調という気がします。 いずれにしてもこれでは使えないので、NTT へ電話して状況を説明したところ、 「担当のものが伺って調査致します。」とのこと。いや、すぐに来て頂くのは うれしいのですが、おうちには誰もいないかもしれないし、壊れかかっている のは自明なので、「なんのためのレンタルなの?」とか少々文句を言ったとこ ろ、新しいのを玄関に置いてってくれることで交渉成立。おうちに帰って新し いのに交換したところ、今のところ調子が良さそうです。それにしても当日新 しいのを持ってきてくれるとはさすが NTT です。すばらしい。
でもってクリーンインストールしようとリカバリー CD からブートしたところ、 こんどは必要なファイルが存在しないと怒られて失敗します。
OS の分際で人を怒るなヽ(*`Д´)ノ
もはや CD の不調も Windows のせいになってます (笑)。一瞬マシンを破壊し て iMac を購入する衝動にかられましたが、いつもの通り金欠で予算がないの でここはぐっと我慢。CD のブートセクター近辺のみ壊れたらしく、試しに Windows を起動してから CD のアイコンをダブルクリックするとインストール 可能となったのです。ただしこの場合、「クリーンインストール」は可能でレ ジストリー等もクリーンアップされるのですが、自前で作ったディレクトリー その他は残ります。一抹の不安があるのですが、今のところ変な挙動は示して いないようです。大丈夫です。たぶん。
コメント_てなさく [綺麗な日本語フォントさえ用意できるなら、Debian GNU/Linux はかな...]
_かがみ [あっ、家族用 PC UNIX ですか。案外良いかも。とは言うものの一度提案して、...]
本日からこの日記を自宅サーバーから アイネットディ で運用する予定です。環境は一通り完成し、現在ドメイン移行の手続き中です。 本日中に移行が行われる予定ですが、一時的にページが表示されない等の問題 が発生するかも知れません。
(追記) 完了しました。
コメント_miya [おつかれさまでした。]
_かがみ [ありがとうございます。というか昨日のコメントを POST して気がついたのですが...]
_miya [>POST の後画面が真っ白 僕の時もそうでした。???と思って、ここでF5なん...]
_かがみ [現象は分かったのですが、現在原因不明です。Perl 分からないし (弱)。あんま...]
本日届きました。クリーンインストールを行うか上書きインストールを行うか 迷ったのですが、結局安易な上書きインストールを行うことにしました。イン ストール自体は問題なく終了し、既存の環境も一部アプリケーションの関連づ けがおかしくなっている点を除けば問題なさそうです。
(よくなった点)
(今のところよくない点)
まだ使い込んでないので余り詳しいことは分からないのですが、Terminal.app が一番問題を抱えていそうです。このアプリケーションは微妙なところで、私 にとっては最も使用頻度が高く、さらに十分な使いやすさなので、少々的外れ かも知れませんが、MacOSX を使い続ける理由の一つなのです。これに関しては 「うるさがた」の人達の使用頻度が高いと思われるので、時間が経過すれば改 善されると思います。正直私の使い方では Tiger との違いがいまいち実感でき ないのですが、OS も 64bit 化されたそうですので、いずれ利点も分かるよう になるかも知れません。というか新しい機能を使っていないので、なんともは やいまいち良さが分からないのかも知れません。
(追記) LaTeXit はヴァージョンを一つ下げたところ動作するようになりました。
(さらに追記) 上記の第一印象に関してはかなりの誤認が存在します。 それらの点に関しては 2007年11月10日 の記事を参照して下さい。
コメント_miya [僕もなんだかんだで、Amazonでポチッとしました。Parallesのアップデー...]
_かがみ [おおっ、miya さんもぽっちんしましたか。Parallels は FreeB...]
最近異様にネットの調子が悪かったのです。おうちからの WWW ブラウズは遅 いし、なんか外からの接続への応答も悪そう。というわけで FreeBSD の tcpdump で調べたところ、なんとご家族さま PC から大量のパケットが送出さ れていたのです。ふむふむ、なにやらこれはポートスキャンをしている感じで す。
でもってポートスキャンの相手先アドレスを調べてみたら、なんとこれが
このページへの最近のお客さまのアドレス 30個くらい (殴)あわわわっ。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ご めんなさい。
というか、もちろんお客さまのパケットは FreeBSD サーバー向けにリダイレ クトされているので、Windows のウイルスみたいなのがお客さまのアドレスを 知っているということは、promiscuous モードでパケットを監視しているので すなあ。
Windows マシンは現在ネットワークから切り離しましたが、ご家族さまもそれ なり利用頻度が高いので、土曜日か日曜日には再インストールが必要そうです。 さらに明日か明後日には新しい MacOSX が届く予定なので、どちらを優先する か悩みに悩むところです。さすがに子供が三人で共有していると色々問題が多 く、ほんとウイルス系の対策は悩むところなのですが、もちろん私は人様を脅 迫して利益を得ようとするウイルス対策ソフトウエアーのようなものは絶対絶 対に導入しないのです。
コメント_てなさく [うわははは。うちのルータの不正アクセスログみてみよう・・・っていうか、そこをなん...]
_かがみ [うーん、本当にウイルス対策なんたらは嫌いなのです。基本的にセキュリティーとか将来...]
今日から二泊三日でつくば出張の予定です。予定。予定。
コメント
数十年ぶりに帰納極限 (順極限) を使っています。もちろん帰納極限の概念自 体は非常に易しいのでそれに関しては全く問題ありません。経験的にはその双 対である射影極限 (逆極限) よりはるかに簡単な感じがするのが不思議。学生 時代には局所環の完備化で多いにお世話になってるのですがねえ。順極限は何 に使ったか思い出せないのですが、多様体みたいなのをぺたぺた張り合わせる ときに使ったかも。
それはそうと、ほんとにどうでもよいのですが、Jech本や「巨大基数の集合論」 での順系は順序関係 $ \alpha \le \beta $ (全順序なので問題なく上に有向となる) に対し $ f_{\alpha,\beta} : X_\alpha \rightarrow X_\beta $ という感じで定義されているのです。もちろんこの場合 $ \alpha \le \beta \le \gamma $ に対し $ f_{\alpha,\gamma} = f_{\beta,\gamma} \circ f_{\alpha,\beta} $ が成立することが条件となっているのですが、いまいちすわりが良くない感じ がします。
上と同様な記号で $ f_{\beta,\alpha} : X_\alpha \rightarrow X_\beta $ という感じにすると、合成条件が $ f_{\gamma,\alpha} = f_{\gamma,\beta} \circ f_{\beta,\alpha} $ となり非常に落ち着いた感じになるのですが、慣習としてはどちらの記法が優 勢なのだろう。ちなみに最初に上記概念を学んだ「ブルバキ集合論」は現在行 方不明 (涙)。
ほんとどうでも良いのですが、ご存知の方がおられましたら教えて下さい。
コメント_Red cat [慣習としては f_{\\alpha,\\beta} : X_\\alpha \\...]
_かがみ [f_{\\alpha,\\beta} : X_\\alpha \\to X_\\...]
ふぉーとらんは Fortran の日本語訳です。とある事情で Fortran で書かれた プログラムを組込みシステムに移植する必要があるのですが、
Fortran なんて知らないですよ (笑)。そりゃ昔の情報処理試験一種を受験した時 (合格すると月 5,000円の手当てが でた。おいしすぎ) は Fortran とCASL (アセンブラー) だったかの勉強をし ましたが、一晩しかしていません。一夜漬けは当日有効でも、翌日には忘れま す。ましてやそれから 15年以上経過しているので、全く覚えていません。も ちろん覚えていなくても、感覚的になんとか分かる部分もあるのですが、引数 に対する副作用とかいまいち自信がありません。そもそも format 文が全く 分からない。
そこで f2c という便利なものを持ち出したのですが、自動出力なのでこれが また読みにくいのですよ。それからインデックスの開始が Fortran の場合 1 からで C の場合 0 からなので、その調整を行っている部分があり、よほど注 意しないと移植時に間違えそうです。もちろん基本的に f2c で変換したプロ グラムをそのまま使えば、という方針も考えないではなかったのですが、今後 の保守を考えると f2c が吐き出したソースを参考に、スクラッチから書き直 した方が良さそうです。
それにしても面倒。少しずつ書き進めて、ほとんど毎行ごとに printf でミス がないかどうか確認するしかないかも知れません。大量の goto 文は C に変 換した後も残っていますが、自明な場合を除いては消去しない方が無難と思わ れます。一日 100行くらいかな (^^。自分で書くときも平均するとそんなペー スなので丁度良いのかも知れません。
コメント_Red cat [私ゃ Fortran なんて大学の、それもまだ教養学部だった頃に触ったきりです(...]
_かがみ [私が学生の学部生の頃はまだ PC8001 が出る前で、一般の人がコンピューターに...]
_通りすがり [今ではプログラミング言語どころか日本語も覚束ない私ですが、その昔はCとか書けたよ...]
_かがみ [昔 Prolog や LISP で遊んだこともありますが、LISP はともかく ...]
Mac OS X Leopard が 10月26日発売 だそうです。どうしよう。実は Tiger でちっとも困っていないのです。さら にTiger でも見られる問題なのですが、グラフィックチップが弱いため、デュ アルディスプレイ環境で Expose の機能を使うと動きがぎくしゃくし、とって もかっこわるい。
かっこいいのが取り柄の OS なのにとってもかっこわるい。
Leopard にしてかっこわるい場面が増えるととてもいや。さらに最近とみに OS のインストールやアップデートが面倒になって、ほんと自宅の FreeBSD サー バーも今だ 4.X で大いに問題ありなのですが、とにかく面倒。あの十年前の 情熱はどこに行ったのだろう?
そうは言うものの、今の黒マックは後二年は使うので、古い OS をその期間引 きずるのも問題がありそうです。なんとかく買ってしまいそうな予感。きっと 買うかも。絶対買うに違いない (笑)。
ぽちっと押してしまいました ← 予約 (^^。
コメント_miya [僕もポチッとする気まんまんなのです。しかし、Parallelsもアップデートした...]
_かがみ [そう言えば忘れてましたが、古い Parallels って Leopard で動く...]
_たかたに [ここで知ってしまったせいで(?)わたしもぽちっとしちゃいました。個人的にはFin...]
_てなさく [俺んとこはまだインテルMacじゃないから、そっちが問題です。そのうち、Leopa...]
_かがみ [(たかたにさん) おおっ、たかたにさんもぽっちんしてしまいましたか。ということは...]
_かがみ [(てなさくさん) やはり最近新機種にわくわくしなくなったのは、(帰納的にも測度的...]
この前会社で、非公式ですが、来年以降の商品の企画の話をしていたのです。 社長もいました。その時提案した画期的な新商品。
萌えキャラごめんなさいフィギュア (笑)
単に等身大の萌えキャラフィギュアが「ごめんなさい」を連呼するだけなので すが、これは売れます。儲かります。商売繁盛です。さてどのような用途が あるのでしょう。
いまいち何のためにやってるのか分からないのですが、企業や法人が不祥事を 起こすと、そこの偉い人が出てきて、ちっとも悪いと思ってないのに報道陣に 対し頭を下げる儀式があります。報道陣以外の人に対して謝る気がないのはも ちろんです。そうは言うものの会社では一番偉い人で、しかも不祥事を起こす ようなところの社長ですから、生まれてから人に頭を下げたり、本気で謝った ことなどありません。このような儀式の主役となることについて非常に不快な 思いをされていることは容易に想像がつきます。
そこで営業です。
次のようなシーンを想像して下さい。等身大萌えキャラは秘書みたいに見える よう眼鏡をかけているとなおよろし。
報道陣 : まず被害者と国民の皆様への謝罪はどうするのですか? そもそもその横に置いてある人形みたいなのはなんですか。 社長 : ふんぞり返ったままリモコンボタンを押す。 萌えフィギュア : ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。 報道陣 : わははははっ。なにふざけてるのですか。ちゃんと謝罪を。ぷふっ。 社長 : ふんぞり返ったままリモコンボタンを押す。 萌えフィギュア : ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。 報道陣 : ぶふっ。ごほん。いいかげんにして下さい。真面目に謝る気があるのですか。 社長 : ふんぞり返ったままリモコンボタンを押す。 萌えフィギュア : そんなことだから、いつまで経っても彼女が出来ませんのよ? 報道陣 : ケンカ売ってんのかこのメガネ ヽ(*`Д´)ノ 社長 : ふんぞり返ったままリモコンボタンを押す。 萌えフィギュア : ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
という案配で記者会見の儀式は混乱の中うやむやに終了し、社長はふんぞり返っ たままでことなきを得るのです。
これは売れます。必ず儲かります。大繁盛です。少なめに見積もっても不祥事 の可能性をかかえる会社は全国に一万はあると思われるので、最低一万体。一 台三百万円としてなんと三百億円の売り上げです。三百万円は高いと思われる かも知れませんが、なんといっても等身大の萌えキャラ、さらに人工知能 (ど こが?) つきです。そもそも企業は偉い人の立場を守るためならば、お金に糸 目をつけない傾向があります。
というわけで、考えに考えた企画立案を一生懸命社長に説明し、「これは画期 的なアイディアです。会社は大もうけです。なので月給を倍にして下さい (笑)」 とお願いしたのですが、なんと驚くべきことに却下でした。いや、まだ儲から ないうちに月給を上げろというのが却下なのは分からないではないのですが、 企画立案自体が却下。不思議です。もしかしておうちの会社の社長は余り儲け ようと言う気がないのだろうか。
てなことをおうちに帰ってモカちゃんに話したところ、すごく軽蔑した顔で無 視されました。無視というのはあんまりなので「何か感想は?」と聞いたので すが、向こうを向いたまま「返す言葉がまったくありません。」とのことでし た。さらに奥さまにも無視されたという。どうしてなんだろう。本当に謎なの です。
(おわび) 本文でとある運営ノートをから無断で引用というかコピーを行った 部分があります。深くおわび申し上げます。 ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい (^^。
コメント_通りすがり [>国民の皆様への謝罪はどうするのですか?成海璃子風のちゅーぼーキャラ曰く「ただの...]
_Y.Kumagai [カシャッ カシャカシャッ カシャッ カシャカシャカシャッ…最近、プロカメラマンの...]
_てなさく [萌えキャラである必然性が・・・]
_かがみ [(通りすがりさん) そうか。ツンデレを忘れていました (笑)。こちらは本当に売れ...]
_かがみ [(Y.Kumagai さん) そうですねえ。たしかに、おうちの会社の社長さんは後...]
_かがみ [(てなさくさん) うっ、なんとも鋭いご指摘。とはいえ、本文のフィギュアが例えば「...]
_てなさく [Y.Kumegaiさん>却下されたのは後ろめたいことがないから理解出来ないのでし...]
_タナカコウイチロウ [質問されたら、「特に理由はありません」、「別に」をランダムにしゃべる、アンドロイ...]
_かがみ [ランダムに無意味なことをしゃべるのならば、実質偉い人がしゃべっているのと内容的に...]
_タナカコウイチロウ [ごめんなさい。ごめんなさい。「空気」が読めなくてごめんなさい。さて、筒井康隆の小...]
_かがみ [いや、別に空気とかなくって、そのまんまのばかねたですよ。で、返信の意味は、こちら...]
_てなさく [要するに、大社長が萌えキャラの格好をして謝れば、八方円満に・・・(以下省略)]
_かがみ [そこまでできる大社長なら、きっと不祥事は起こさないかと (^^。]
ここのところ数学モード一色でとりたてて他の話題も思いつかないのはご容赦 の程を。余り大風呂敷を広げるものあれなのですが、とりあえず $ 0^{\sharp} $ のごくごく基本に関しては証明を追いかけたと思うので、しばらく超べきの反 復について勉強しようと考えています。ざっと眺めた感じ非常に代数的な装い なのでなんとか追っかけ可能と思われます。たぶん。そもそも代数は大好きですし。
そして強制の繰り返し。これは一度挫折しています。静岡で痛感したのですが、 明らかに通常の強制についての理解と直感不足です。そうは言うもののもう一 度きちんと復習すればこちらもなんとかなるでしょう。たぶん。
問題はその後です。可測基数より大きな基数に関する理論や、その他一般的な 理論で不勉強な部分が山ほどあるのですが、代数学の抽象論ばかり勉強して結 局具体的なことは何も身につかず、あげくの果てにつまらなくなってしまった のは学生時代に経験済みです。今回はそのつてを踏まぬよう、実数の具体的な 理論、すなわち記述集合論についての勉強をしようかと考えています。集合に 関する一般論については記述集合論での問題意識から必要に応じて勉強した方 が面白いし、なにより自分自身のためになると思います。
計画倒れにならないように。あっ、でも、最近ちょっと集合論になれてきたかも。 ほんのちょっとですが読むのが速くなってきました。それから一年前までは $ 0^{\sharp} $ なんて、ごくごく基本的な部分も絶対に分からないと思っていたのですが、 理解不可能という程ではなかったのが自分としてはうれしいのです。なんとか なります。たぶん (^^。
コメント
つくばから帰ってきました。来週から大量の仕事が待っています。私は画面以 外基本的になんでも屋さんなのですが、今までの経験からお客さまが研究者で、 その研究に関するプログラムを実装する場合スムーズにものごとが運ぶ場合が 多く、なにより面白いのです。今年の前半がそうでした。色々難しい実装を希 望される場合も多いのですが、論理的に説明すれば、「これはいくらなんでも 無理」等納得して頂けるのです。もちろん今まで新規のアルゴリズムの提案、 実装を行ったり、激速で激速のプログラムを書いたり、すでに信頼を得てるの が前提です。それから、研究者の方が「本当はなにをしたいか」を読み取り、 その部分に関しては絶対に手を抜かず、念には念を入れ最良と思われるコード を書く等々。さらに、すぐに無理とか言わないで、一通り全部お話を聞いてか らというのは大切です。一度研究所の先生に面白い評価を受けたことがありま す。
かがみさんよりプログラムが上手な人はいる。かがみさんより数学ができる人 もいる。でも両方できる人がいないんですよ (笑)いやはや、ほめられてるんだかけなされてるんだか (^^。
今週は三日しか働いていませんが、なんかつくば缶詰疲れです。どうせ来週か ら土日も自宅でも仕事したり、ほとんど休めなくなるので、やけをおこして明 日はお休みです。
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今後の学術書の出版では、いくらかの付加金額を払えば PDF でも入手が可能 であればとても良いな、とはここ数年ずっと考えていたことです。ところが集 合論関連でネットを検索していたら Jech の Set Theory は PDF でも項目ごと入手可能 になっているようです。例えば 0# に関する基本的な理論に関する部分は こちら です。 Jech 本には大変お世話になっているのですが、さすがに持ち歩くには重すぎ るので、これはとっても便利だと思ったのです。ところがお値段がお値段が...。
一つの項目が 25 ドル (高)30以上の項目があるので、全部購入すると 10万円超えてしまいます。本の価 格の 3倍以上です。うーん、本と同程度の価格で手に入るのならば考えないで はないのですが。もちろんこれから読むトピックに関して少しずつ入手するこ とも考えられるのですが、その場合前の方の項目を見たくなる場合も少なくな いと考えられます。うーむ、目立たないように (誰に^^) 少しずつためこんで こうかな。
いつもだと「えいや」と全部買ってしまう可能性もあり得るのですが、現在 Handbook of Set Theory (いつ出るのだろう) 購入予定なので、なかなかそうも行かないのです。とい うか本に PDF の CDROM なり DVD がおまけでついてくれば一番良いのですが、 やはりコピーの問題等ありなかなか難しいのでしょうなあ。
コメント_てなさく [そりゃ高いですね。だけど、たとえば、David Fremlinさん (http:...]
_かがみ [高いですねえ。そうは言うものの、よく考えてみると zero-sharp の基本に...]
_はやし [学生の特権を利用して無料アクセスできないかと少しだけ期待してシュプリンガーのサイ...]
_かがみ [あっ、やはり無料アクセスは無理でしたか。というか印刷しない分本よりはコストはかか...]
昨日の続きです。用語記号等はすぐ下ですが、 0# (zero-sharp) 六回目 Kunenの定理 (準備編)を参照して下さい。
少しだけ復習すると $ i:\, L_\kappa \rightarrow L_\kappa $ が critical point が $ \gamma $ である初等的埋め込みで昨日の定義での $ X_\alpha \quad (\alpha \lt \omega_1) $ 上恒等写像です。そして $ M_\alpha = H^{L_\kappa}(\gamma \cup X_\alpha) \quad (\alpha\lt \omega_1) $ として推移的崩壊
$ \pi_\alpha :\,M_\alpha \rightarrow L_\kappa $とその逆写像
$ i_\alpha : \,L_\kappa \rightarrow M_\alpha \prec L_\kappa $を考えたのでした。 $ \gamma_\alpha = i_\alpha(\gamma) $ とします。 $ i, \, i_\alpha $ は次の性質をもちます。
(命題 1)
(1.1) $ i $ は $ M_\alpha $ 上恒等写像(証明)
(1.2) $ \gamma_\alpha \in M_\alpha $ は $ M_\alpha $ で $ \gamma $ より大きな最小の順序数
(1.3) $ \alpha\lt \beta $ のとき $ i_\alpha $ は $ M_\beta $ 上恒等写像。特に $ i_\alpha(\gamma_\beta)= \gamma_\beta $
(1.4) $ \alpha \lt \beta \rightarrow \gamma_\alpha \lt \gamma_\beta $
(1.1) は $ i $ が $ \gamma \cup X_\alpha $ 上恒等写像であることにより得られる。実際 $ M_\alpha $ の要素をスコーレム項により $ t^{L_\kappa}(\xi_1,\cdots \xi_n) \quad (\xi_i \in \gamma \cup X_\alpha) $ と表すと $ L_\kappa $ でのスコーレム関数は存在記号を標準整列順序に対する最小元で置換したもの であり、その整列順序が絶対的であることと、 $ i $ の初等性により $ i(t^{L_\kappa}(\xi_1,\cdots,\xi_n)) = t^{L_\kappa}(i(\xi_1),\cdots i(\xi_n)) $ が成り立つからである。大分長くなりましたが、いよいよ次の準備と命題で Kunen の定理の証明の実 質的部分は完了です。(1.2) であるがまず $ \gamma \subset M_\alpha $ であることに留意すると $ \gamma \le i_\alpha(\gamma) $ であり、 $ \gamma $ と $ \gamma_\alpha $ の間には順序数が存在しないことが分かる。ところが $ \gamma $ は $ i $ の critical point であったので $ \gamma\lt i(\gamma). $ 従って (1.1) により $ \gamma \notin M_\alpha $ である。
(1.3) は次のように証明される。 $ x\in M_\beta $ とする。(1.1) と同様に $ M_\beta $ をスコーレム項で表現することを考えれば、 $ i_\alpha $ が $ \gamma \cup X_\beta $ 上恒等写像であることを示せば良い。 $ \gamma $ 上で恒等的であることは明らかなので、 $ \xi \in X_\beta $ とする。ところが定義により $ |X_\alpha \cap \xi| = \xi $ が成り立ち $ \xi $ が基数であることを考慮すると $ i_\alpha(\xi)=\xi $ がなりたつ。
最後に (1.4) であるが、 $ M_\beta \subset M_\alpha $ なので (1.2) により $ \gamma_\alpha \le \gamma_\beta. $ 再び (1.2) より $ \gamma \lt \gamma_\alpha $ なので $ \gamma_\alpha=i_\alpha(\gamma) \lt i_\alpha(\gamma_\alpha) $ であるが (1.3) により $ \gamma_\beta=i_\alpha(\gamma_\beta) $ である。従って $ \gamma_\alpha \neq \gamma_\beta $ (証明終)。
$ M_{\alpha\beta} = H^{L_\kappa}(\gamma_\alpha \cup X_\beta) $ とします。 $ M_\alpha $ の場合と同様に推移的崩壊
$ \pi_{\alpha\beta} : \, M_{\alpha\beta} \rightarrow L_\kappa $を考えることができ、その逆写像 (もちろん初等的埋め込みとなる) を
$ i_{\alpha\beta} : \, L_\kappa \rightarrow M_{\alpha\beta} \prec L_\kappa $とします。 $ \alpha $ が大きいと $ M_{\alpha\beta} $ も大きくなり、逆に $ \beta $ が大きいと $ M_{\alpha\beta} $ は小さくなります。また右下の可換図式が成立します (id は埋め込みの意味)。
(命題 2)
(2.1) $ \xi\lt \alpha $ または $ \beta\lt \xi $ のとき $ i_{\alpha\beta}(\gamma_\xi)=\gamma_\xi $(証明)
(2.2) $ i_{\alpha\beta}(\gamma_\alpha)=\gamma_\beta $
(2.1) $ \xi \lt \alpha $ の場合 $ \gamma_\xi\lt \gamma_\alpha $ なので主張は明らか。 $ \beta\lt \xi $ とすると $ \gamma_\xi \in M_{\beta+1}. $ 従って (1.1) の証明と同様に $ \delta \in M_{\beta+1} $ に対し $ |M_\beta \cap \delta| = \delta $ なので $ i_{\beta}(\gamma_\xi)=\gamma_\xi $ であることがわかり右の可換図式 (可換図式をつかうまでもなく $ i_\beta $ が $ i_{{\alpha}{\beta}} $ の制限なので) により $ i_{\alpha\beta}(\gamma_\xi)=\gamma_\xi. $(定理 Kunen)(2.2) であるが、まず $ M_\beta \subset M_{\alpha\beta} $ であることにより $ \gamma_\beta \in M_{\alpha\beta}. $ さらに $ \gamma_\alpha \subset M_{\alpha\beta} $ なので $ i_{\alpha\beta}(\gamma_\alpha) $ は $ M_{\alpha\beta} $ において $ \gamma_\alpha $ 以上である最小の順序数である。従って $ \gamma_\alpha \le i_{\alpha\beta}(\gamma_\alpha) \le \gamma_\beta $ が成り立つ。従って $ M_{\alpha\beta} $ に $ \gamma_\alpha \le \delta \lt \gamma_\beta $ を満たす $ \delta $ が存在しなければよい。今このような $ \delta $ が存在したと仮定し、スコーレム項により $ \delta = t^{L_\kappa}(\xi,\eta) $ と表現できたとする。ただし $ \xi $ は $ \gamma_\alpha $ の要素の列であり、 $ \eta $ は $ X_\beta $ の要素の列であるとする。すると次の充足関係が成立する。
$ L_\kappa \vDash \exists{\xi\lt \gamma_\alpha}(\gamma_\alpha \leq t(\xi,\eta) \lt \gamma_\beta) $$ \pi_\alpha $ を適用すると、初等性と $ \pi_\alpha(\gamma_\alpha)=\gamma,\,\pi_\alpha(\xi)=\xi, \, \pi_\alpha(\eta)=\eta $ であることにより$ L_\kappa \vDash \exists{\xi\lt \gamma}(\gamma \leq t(\xi,\eta) \lt \gamma_\beta) $がなりたつ。ところが存在記号の $ \xi $ を一つ固定すると $ \xi \lt \gamma $ なので再び $ t^{L_\kappa}(\xi, \eta) \in M_\beta. $ これは (1.2) に反する (証明終)。
$ I=\{ \gamma_\alpha\,:\, \alpha\lt \omega_1 \} $ は $ L_\kappa $ に関する識別不可能集合である。従って $ 0^{\sharp} $ が存在する。
(証明 2007年10月10日書き直し) 下記てなさくさんの前回 (10月8日) のコメントでのご指摘により書き直しました。
$ \varphi(v_1,\cdots,v_n) $ を論理式として $ \gamma_{\alpha_1} \lt \cdots\lt \gamma_{\alpha_n} $ と $ \gamma_{\beta_1} \lt \cdots \lt \gamma_{\beta_n} $ をそれぞれ $ I $ の要素の増大列とする。 まず $ \gamma_{\delta_n} \in I $ を $ 1 \le k \le n $ に対するいずれの $ \gamma_{\alpha_k},\gamma_{\beta_k} $ よりも大きな要素とする。関数 $ i_{{\alpha_n}{\delta_n}}, i_{{\beta_n}{\delta_n}} $ による変換を考えると $ i_{{\alpha_n}{\delta_n}}(\gamma_{\alpha_n})=\gamma_{\delta_n} \, i_{{\beta_n}{\delta_n}}(\gamma_{\beta_n})=\gamma_{\delta_n} $ であり、 $ 1 \le k \le n-1 $ に対し $ i_{{\alpha_n}{\delta_n}}(\gamma_{\alpha_k})=\gamma_{\alpha_k} \, i_{{\beta_n}{\delta_n}}(\gamma_{\beta_k})=\gamma_{\beta_k} $ であることと $ i_{{\alpha_n}{\delta_n}}, i_{{\beta_n}{\delta_n}} $ の初等性により \[ \begin{gather} L_\kappa \vDash \varphi(\gamma_{\alpha_1},\cdots, \gamma_{\alpha_{n-1}} \gamma_{\alpha_{n}}) \leftrightarrow L_\kappa \vDash \varphi(\gamma_{\alpha_1},\cdots, \gamma_{\alpha_{n-1}}, \gamma_{\delta_{n}}) \\ L_\kappa \vDash \varphi(\gamma_{\beta_1},\cdots, \gamma_{\beta_{n-1}}, \gamma_{\beta_{n}}) \leftrightarrow L_\kappa \vDash \varphi(\gamma_{\beta_1},\cdots, \gamma_{\beta_{n-1}}, \gamma_{\delta_{n}}) \end{gather} \] が成立する。次に $ \gamma_{\delta_{n-1}} \in I $ を $ \gamma_{\delta_{n-1}} \lt \gamma_{\delta_n} $ であり $ 1 \le k \le n-1 $ に対するいずれの $ \gamma_{\alpha_k},\gamma_{\beta_k} $ よりも大きな要素とする。このとき上と同様な理由と $ i_{\alpha_{n-1}\delta_{n-1}}(\gamma_{\delta_n})=\gamma_{\delta_n}\, i_{\beta_{n-1}\delta_{n-1}}(\gamma_{\delta_n})=\gamma_{\delta_n} $ であることにより \[ \begin{gather} L_\kappa \vDash \varphi(\gamma_{\alpha_1},\cdots,\gamma_{\alpha_{n-1}} \gamma_{\alpha_{n}}) \leftrightarrow L_\kappa \vDash \varphi(\gamma_{\alpha_1},\cdots, \gamma_{\delta_{n-1}}, \gamma_{\delta_{n}}) \\ L_\kappa \vDash \varphi(\gamma_{\beta_1},\cdots, \gamma_{\beta_{n-1}}, \gamma_{\beta_{n}}) \leftrightarrow L_\kappa \vDash \varphi(\gamma_{\beta_1},\cdots, \gamma_{\delta_{n-1}}, \gamma_{\delta_{n}}) \end{gather} \] が成立する。以下同様に \[ \begin{gather} L_\kappa \vDash \varphi(\gamma_{\alpha_1},\cdots, \gamma_{\alpha_{n-1}} \gamma_{\alpha_{n}}) \leftrightarrow L_\kappa \vDash \varphi(\gamma_{\delta_1},\cdots, \gamma_{\delta_{n-1}}, \gamma_{\delta_{n}}) \\ L_\kappa \vDash \varphi(\gamma_{\beta_1},\cdots, \gamma_{\beta_{n-1}}, \gamma_{\beta_{n}}) \leftrightarrow L_\kappa \vDash \varphi(\gamma_{\delta_1},\cdots, \gamma_{\delta_{n-1}}, \gamma_{\delta_{n}}) \end{gather} \] が成り立ち従って \[ \begin{gather} L_\kappa \vDash \varphi(\gamma_{\alpha_1},\cdots, \gamma_{\alpha_{n-1}} \gamma_{\alpha_{n}}) \leftrightarrow L_\kappa \vDash \varphi(\gamma_{\beta_1},\cdots, \gamma_{\beta_{n-1}}, \gamma_{\beta_{n}}) \end{gather} \] である (証明終)。(参考文献)
(関連リンク)
0# (zero-sharp) 一回目
0# (zero-sharp) 二回目
0# (zero-sharp) 三回目
0# (zero-sharp) 四回目
0# (zero-sharp) 五回目
0# (zero-sharp) 六回目
Kunenの定理 (準備編)
コメント
おととい予定変更と書きましたがまたまた予定変更ということで、 今日は Kunen による $ 0^{\sharp} $ の存在と初等的埋め込み $ j:\, L \rightarrow L $ の存在の同値性の証明の準備です。少々長くなりますがご容赦の程を。
まず簡単な方から。即ち $ 0^{\sharp} $ の存在が初等的埋め込み $ j:\,L \rightarrow L $ を導くことですが Silver indescernible で現れた識別不可能集合の昇順の列挙を $ I=(i_\xi)_{\xi \in \mathrm{Ord}} $ として $ f:\,I \rightarrow I $ を $ f(i_\xi) = i_{\xi+1} $ で定義すると $ f $ は自然に $ L $ に拡張することが可能で、さらにその拡張は初等的埋め込みとなります。 蛇足ですがもちろん $ f \notin L,\, j\notin L $ です。
逆方向は難しいです。巨大基数の集合論によると、本来超べきの反復の手法を 用いた証明がオリジナルであり、さらに今回の定理の証明をさらに分析して新 たな結果を得るためには、そのままの形での証明の方が見通しが良いとのこと です。ただし今回は Jech 本を参考にし、より簡潔化された証明を記載します。 例のごとく丸写しに近いのですが、自分自身悩んだ点に関していくつかコメン トを付記しました。
まず通常の超べきの場合と同様に臨界点 (critical point) が $ \gamma $ である初等的埋め込み $ j:\,L \rightarrow L $ を「正規化」します。 $ \gamma $ 上の $ \gamma $ 完備超フィルターが $ L $ に存在することはあり得ませんが、Generic フィルターの場合と同様に $ L $ の外側で構成することは可能です。
(定義 1) $ M $ を集合論の内部モデル、 $ \gamma \in M $ を順序数とする。 $ U\subset \mathcal{P}^M(\gamma) $ が $ \gamma $ 上 $ M $ -超フィルターとは次の条件を満たすこと。
(1.1) $ \emptyset \notin M $$ U $ が次の条件を満たすとき $ \gamma $ 完備と呼ぶ。
(1.2) $ X,Y \in U \rightarrow X \cap Y \in U $
(1.3) $ X \in U, X \subset Y, Y\in M \rightarrow Y\in U $
(1.4) $ X\subset\gamma,X \in M \rightarrow (X\in U \vee \gamma-X \in U) $
(1.5) $ (X_\xi)_{\xi\lt \alpha} $ (ただし $ \alpha \lt \gamma $ ) を $ U $ の要素の族とするとき $ \bigcap_{\xi\lt \alpha}X_\xi \in U $さらに $ U $ が次の条件を満たす時正規であると言う。
(1.6) $ X\in U $ 上の退行的 (regressive) で $ M $ に属する関数はある $ Y\in U,\, Y\subset X $ で定値ここで $ U\in M $ は要求しません。 $ U $ が $ M $ -超フィルターの場合も、 超積、超べきとLośの定理 (2006年9月10日) で記載した方法とまったく同様に 、 順序数 $ \gamma $ に対し超べきを構成することが可能です。ただし $ f:\, \gamma \rightarrow M $ は $ f\in M $ を満たすもののみを考えます。この超べきを $ \mathrm{Ult}_U(M) $ と書くと $ j_U : \, M \rightarrow \mathrm{Ult}_U(M) $ は初等的埋め込みとなります。
さらに $ V $ からの初等的埋め込みの場合と同様に、内部モデル間の初等的埋め込みを超べ きにより「正規化」することが可能です。 $ V $ からの初等的埋め込みに関する超べきによる「正規化」に関しては、 くるるさんの記事 「初等埋め込みと可測基数」(2006年7月11日) を参照して下さい。今 $ M, N $ を集合論の内部モデルとし $ j:\,M \rightarrow N $ を critical point が $ \gamma $ である初等的埋め込みとします。このとき
$ U=\{X\subset \gamma \,:\, X\in M \wedge \gamma \in j(X)\} $とすると可測基数に関する事実と全く同様の証明により次のことが分かります。
(命題 2)
(2.1) $ U $ は $ \gamma $ 完備でさらに正規な $ M $ 超フィルター(2.2) はもし $ \mathrm{Ult}_U(M) $ が所属関係に関する無限下降列をもてば $ k $ 経由により $ N $ での無限降下列が得られることにより導かれます。
(2.2) 超べき $ \mathrm{Ult}_U(M) $ は整順である。従って推移的崩壊をもつ。
(2.3) 右の可換図式が成り立つ。ここで $ k $ は初等的埋め込みであり $ k([f]) = (j(f))(\gamma) $ である。
以降 $ M=N=L $ の場合のみ考えます。 $ \mathrm{Ult}_U(L) $ の推移的崩壊は $ L $ の最小性により $ L $ となります。
(補題 3) $ j_U:\, L \rightarrow L $ について次が成立する。
(3.1) $ j_U $ の critical point は $ \gamma. $(証明)
(3.2) 極限基数 $ \kappa $ が $ \mathrm{cf}(\gamma)\lt \kappa $ を満たすとする。このとき $ j_U(\kappa)=\kappa $
まず $ \alpha\lt \gamma\,,\beta \lt j(\alpha) $ として。 $ \beta=[f] $ と表現されていたとする。このとき$ \mathrm{Ult}_U(L) \vDash [f] \in j(\alpha) \leftrightarrow \{\xi \lt \gamma \,: \, f(\xi)\lt \alpha\} \in U \leftrightarrow \bigcup_{\eta \lt \alpha}\{\xi\lt \gamma\,:\, f(\xi)=\eta\} \in U $従って $ U $ が $ \gamma $ -完備であったことを思い出すと $ \eta\lt \alpha $ が存在し $ \{\xi\lt \gamma\,:\, f(\xi)=\eta\} \in U. $ よって $ \alpha, j(\alpha) $ ともに順序数であることにより $ j(\alpha)=\{j(\eta)\,:\, \eta\lt \alpha\} = \alpha $ がなりたつ。次に $ \gamma\lt j(\gamma) $ であることであるが、 $ U $ が正規であることにより $ \gamma=[\mathrm{id}]\lt j(\gamma) $ が成り立つ。
次に $ \kappa $ を $ \gamma\lt \mathrm{cf}(\kappa) $ を満たす極限基数とする。共終に関する条件により $ f:\,\gamma \rightarrow \kappa $ の任意の値はある $ \alpha \lt \kappa $ 未満である。今 $ \beta \lt j(\kappa) $ を任意にとり $ \beta=[f] $ と表現されるとする。このとき上の注意により $ [f] \lt j(\alpha). $ 従って $ j(\kappa) = \lim_{\alpha\lt \kappa}j(\alpha). $ 一方 $ L\vDash \mathrm{GCH} $ により $ |j(\alpha)| \le (|\alpha|^\gamma)^L \lt \kappa $ が成り立つ (二番目の不等号は $ |\alpha|^{\gamma} \leq (2^{|\alpha|})^{\gamma} \leq 2^{|\alpha|\gamma} $ であることと $ |\alpha|\gamma \lt \kappa $ さらに $ \kappa $ が極限基数であることによる)。従って $ j(\kappa)=\kappa $ が成立する (証明終)。
一通り道具立てがそろいました。ここからが本当の証明部分です。
まずクラス $ U_0 $ を次のように定義します。
$ U_0 = \{ \kappa \,:\, \kappa\text{ is a limit cardinal and } \gamma\lt \mathrm{cf}(\kappa) \} $ケーニヒの補題 ( $ \kappa\lt \mathrm{cf}(2^\kappa) $ ) により $ U_0 $ が非有界であることはすぐに分かります。さらに $ \gamma\lt \mathrm{cf}(\delta) $ を満たす順序数 $ \delta $ に対する極限に対し $ U_0 $ は閉じています。言い換えると $ (\kappa_\xi)_{\xi\lt \delta} $ を $ U_0 $ の増大列とするとき $ \lim_{\xi \lt \delta} \kappa_\xi \in U_0. $ この事実は一般に順序数の増大列 $ (\alpha_\xi)_{\xi\lt \delta} $ に対し $ \beta=\lim_{\xi\lt \delta}\alpha_{\xi} $ の場合 $ \mathrm{cf}(\beta)=\mathrm{cf}(\delta) $ であることにより分かります。さらに $ U_1 $ を次のように定義します。
$ U_1 = \{ \kappa \,:\, \kappa \in U_0 \text{ and } |U_0 \cap \kappa\vDash \kappa\} $$ U_0 $ と同様に $ U_1 $ が $ \gamma \lt \mathrm{cf}(\delta) $ である $ \delta $ の上方向への極限に関して閉じていることは簡単に分かります。さらに $ U_1 $ も非有界です。実際 $ \kappa_0 \in U_0 $ として $ U_0 $ の $ \kappa_0 $ より大きい $ \kappa_0 $ 個の要素の増大列の極限を $ \kappa_1 $ とします。このとき明らかに $ \kappa_1 \in U_0 $ でありさらに $ |U_0 \cap \kappa_1| \ge \kappa_0 $ が成立します。次に $ U_0 $ で $ \kappa_1 $ の上方に $ \kappa_1 $ 個の上昇列をとりその極限を $ \kappa_2 $ とします。すると同様に $ \kappa_2 \in U_0 $ と $ |U_0 \cap \kappa_2| \ge \kappa_1 $ が成立します。この操作を $ \gamma\lt \mathrm{cf(\delta)} $ を満たす $ \delta $ 回まで行うと (極限の場合は合併をとる) $ \kappa_\delta $ を得ることができ $ \kappa_\delta \in U_1 $ を満たします。一般に $ U_\alpha $ を次のように定義します。
$ U_0 = \{ \kappa \,:\, \kappa\text{ is a limit cardinal and } \gamma\lt \mathrm{cf}(\kappa) \} $このときすべての $ \alpha $ に対し $ U_\alpha $ は非有界でありさらに $ \gamma \lt \mathrm{cf}(\kappa) $ である $ \delta $ 個の極限に対し上方向に閉じています。自明でないのは $ \mathrm{lim}(\alpha) $ の場合ですが、例えば $ \alpha = \omega $ の場合 $ \gamma\lt \mathrm{cf}(\delta) $ を満たす基数 $ \delta $ に対し増大列 $ \kappa_n^\xi \in U_n \quad (n \in \omega,\,\xi\lt \delta) $ (ただし $ n $ を先に動かす) の極限を $ \kappa $ とすれば $ \kappa \in U_\omega. $ たぶん。えーと、一般の場合事前に $ \alpha \lt \delta $ も満たすように $ \delta $ を選んでおきます。
$ U_{\alpha+1}= \{ \kappa \,:\, \kappa \in U_\alpha \text{ and } |U_{\alpha} \cap \kappa\vDash \kappa\} $
$ U_{\alpha} = \bigcap_{\xi\lt \alpha}U_{\xi} \quad (\mathrm{lim}(\alpha)) $
ここで $ \kappa \in U_{\omega_1} $ を固定します。 $ j_{U} : \, L \rightarrow L $ の $ L_\kappa $ の制限を $ i:\,L_\kappa \rightarrow L_\kappa $ ( $ j_U(\kappa) = \kappa $ であった) とすると容易に分かるように $ i $ も初等的埋め込みとなります。 $ \alpha \lt \omega_1 $ に対し $ X_\alpha = U_\alpha \cap \kappa $ とし $ M_\alpha = H^{L_\kappa}(\gamma \cup X_\alpha) $ とします。 $ M_\alpha \prec L_\kappa $ です。そして $ M_\alpha $ の推移的崩壊は $ |M_\alpha\vDash \kappa $ であることにより $ L_\kappa $ となります。この崩壊関数を $ \pi_\alpha:\,M_\alpha \rightarrow L_\kappa $ とします。そして $ \pi_\alpha $ の逆関数を
$ i_\alpha :\, L_\kappa \rightarrow M_\alpha \prec L_\kappa $とすると、もちろん $ i_\alpha $ は $ L_\kappa $ から $ L_\kappa $ への初等的埋め込みとなります。ここで結論を書いてしまうと $ \{i_\alpha(\gamma)\,:\, \alpha \lt \omega_1 \} $ が $ L_\kappa $ の (非可算な) 識別不可能集合であることが証明でき、 $ 0^{\sharp} $ の存在が導かれるのですが、さすがに長くなってきたのでその証明は次回。
(参考文献)
Thomas J. Jech 著
Set Theory
Keith J. Devlin, Constructibility
(関連リンク)
くるるさんの記事 「初等埋め込みと可測基数」 (2006年7月11日)
超積、超べきとLośの定理 (2006年9月10日)
0# (zero-sharp) 一回目
0# (zero-sharp) 二回目
0# (zero-sharp) 三回目
0# (zero-sharp) 四回目
0# (zero-sharp) 五回目
0# (zero-sharp) 七回目
Kunenの定理 (証明編)
コメント_てなさく [第七回(10月9日)のKunenの定理の証明のひとつめの別行だて数式が変です。 ...]
_かがみ [あっ、すみません。こころとしては φ(α 列) の充足関係と φ(δ 列) の充...]
_てなさく [ありゃ、またつくばで缶詰なのですね。くれぐれもお身体大切に。]
_かがみ [書き直しました。ありがとうございます。実はまだつくばで、さらに今回は打ち合わせで...]
ここ数日色々紆余曲折はあった (というか難しかった) のですが、やっと $ 0^{\sharp} $ が存在することと、初等的埋め込み $ j:\,L \rightarrow L $ の存在の同値性についての証明を追いかけられたと思ったので、今日はその事 実について書こうとかと思っていたのです。昨日の可換図式はほとんどそのま んまなのですが、その準備だったのでした。ところが例のごとく Jech 本を参 考にして書き始めたら時間がかかることかかること。超べきの拡張についての ごくごく基本的なところまでで疲れてしまいました。
で、「巨大基数の集合論」によると、Jech 本や Devlin 本に書かれている証 明は、オリジナルの証明より簡略化されているが、拡張性に乏しいとのこと。 どうも「超べきの反復」の概念を使用し、その観点から調べた方が見通しがよ いそうな。実際 Jech 本の証明を読むと、超べきの反復で重要な「モデルの順 極限」を想起させる部分もあるのです。
個人的にはひとまず証明は追いかけたことですし、超べきの基本的な部分で忘 れてしまっていたところの良い復習にもなりました。というわけで予定を変更し てしばらくの間「超べきの反復」について勉強しようかなと思っています。そ れにしても、たいしてしていないとはいえ、勉強すればするほど分からないこ とが増えてくるのも困ったものではありますなあ (^^。
あっ、でも一気に書こうとするから大変なのであり、すこしずつ書いといてま とまったらアップするかも知れません。
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これからの集合論雑記でたまに可換図式をつかうこともありそうなので練習。 さすがに mimeTeX では無理そうなので、本物の LaTeX もしくは LaTeXit を使う必要があります。xy-pic というパッケージを使うと便利らしいです。 パッケージの使い方については こちら を参考にさせて頂きました。 私の使っている LaTeX の環境にはすでに上記パッケージが入っていましたが、 必要があればパッケージをダウンロードしインストール。 そしてプリアンブルに
と記述します。そしていまいち詳細な意味は理解していないのですが、\usepackage[all]{xy}
\xymatrix@r@C=4mm{という記述で下の可換図式が出力されます。
V \ar[r]^{j} \ar[d]_{j_U} & M \\
\mathrm{Ult}_U(V) \ar[ru]_k &
}
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今週は久々の会社なのですが、さすがに一週間休んだ後、一月つくば缶詰でほ とんど姿を見せなかったこともあり、事務の女性に「あっ、かがみさんお久し ぶり〜」と言われてしまいました。
そもそも私は体を動かすのが嫌いで、出荷場での検証作業のお手伝いみたいな のは苦手。やはり仕事ではプログラムを作っているときが一番楽しいのです。 そこで事務の女性に理想の生活のことを披露しました。
PC はともかく学生時代は本当にこういう生活だったのです。うーんいいなあ。 もちろんこたつの上には数学書も必要なのですが、会社で話しても仕方がない ので略。 で、それを聞いた事務の女性いわく。(a) はんてんを着て大きめのこたつ
(b) その上にお茶 (これが大切) とみかんとおせんべと PC
なんか東北の田舎みたい (笑)やっぱりこういうのって福島出身で学生時代を仙台で過ごした感覚なのでしょうか。 というか理想の生活への志が低すぎるのかな (^^。
というわけで怒濤のプログラム書きからつくば缶詰、やっとこ平常の仕事モー ドに戻ったのですが、まだ疲れが抜け切らない感じ。会社中歩き回ってばかな 話をしまくり人様の邪魔をしているだけで、ちっとも仕事する気になりません。 やる気なしモードに入るとほんと仕事量 0 になるのが欠点です。
前期で普通の一年分以上の仕事はしたと思うので、後期はご勘弁と言いたいと ころですが、いやはやまだまだすることは沢山あるようで。もちろん、なくなっ ちゃうよりは良いのですが、適度な量でお願いしたいところです。いずれにし ても今週はだめそうなので、今日明日は適当にやり過ごし、金曜日お休みで四 連休。来週から真面目モードに入ることにします。
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今日から十月です。気候の方もやっと過ごしやすくなってきました。
ところで今朝地震がありました。伊豆の方では大分揺れたようですが、藤沢で は余り揺れませんでした。そうは言うものの、突然縦揺れがきたので一瞬大地 震かとかなりあせったのです。威勢が良い状態が最初だけだったのは幸いでした。
それはそうと先月の日記を読み直すと、なかなか波乱の一ヶ月でした。そもそ も納期の一週間前に仕事を仕上げて静岡に行ったのがすごい。普通はぎりぎり になって出来るかどうか微妙な場合が多いのですが、なんとか行きたいとペー スアップしました。いや、ほんとは少しやり残しがあったのですが、まあこの 位ならいいや、ということで。静岡の宿で仕上げたのは内緒です (笑)。
ほんと久々に数学の雰囲気を堪能できたのと、何より素晴らしい人達と会えた のがうれしい。
先月は雑用に追われて、プログラムは全く書いていないのですが、今月からま た忙しくなりそう。数学との両立を上手に行わなければ。ただし余りに数学の ことを気にしすぎると、精神的にも体力的にまいってしまうので、「楽しい」 と感じる状態を超えるようなら、数学の方は一休みすることになります。いや、 きっと大丈夫。私はすぐに弱音を吐く割には、長期的にはしぶといのだ (笑)。
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2007年9月
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