02/25 aiueo 01/01 かがみ 01/01 ゼルプスト殿下 01/01 かがみ 01/01 ゼルプスト殿下 05/10 かがみ
一つ前の記事について著者の方へ直接メールで連絡しました。私自身非専門家なのでなかなか上手に内容を 表現できずご迷惑をおかけしたかも知れません。それにもかかわらず非常に丁重な返事を頂きました。あり がとうございます。この問題に関して私自身が行なうべきことについては解決したと認識しています。
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昨日モデル理論の勉強をするために, 「新井敏康著 数学基礎論」[1] を読んでいたのですが, いつの間にか 集合論のところを読んでいました. それほど真剣に読んでいたのではなく, ゲーデルの $L$ についてどのよ うに扱っているかに興味があったのです. 教科書で $L$ を扱うのはなかなか大変らしく, Kunen [2] では圧 縮レンマについての言及はなく, Jech [3] では圧縮レンマの証明は省略, そして Devlin [4] では一部証明 に誤りが存在するという状況です. 残念ながら [1] においても [4] と同様の誤りが存在するようです.
下記主張は誤りであると思われます. [1] 318ページ (7.2) より引用.
ひとつ簡単な注意をしておく.$\mathrm{BS} \vdash \forall n \in \omega \forall a \exists z [z=^{n}a]$
[4] の下記内容と同様の誤りのようです. [4] 37ページ Lemma 9.5 より引用.
$\mathrm{BS} \vdash (\forall a)(\forall n \in \omega)(\exists u)\mathrm{Seq}(u, a, n)$上記が誤りであることについては [5] にその分析, [6] に解決方法が記述されています. また twitter で @ta_shim_at_nhn さんに 簡単な反例の作りかた を教わりました.
修正可能な (とはいえかなり面倒) 誤りですが放置すると, [4] と同様な流れで充足関係が $L_\alpha$ 上 一様に $\Delta_1$ 論理式で記述可能であることの証明の前提が誤りとなり, その結果 $L_\alpha$ の絶対 性の証明が誤りとなり, 最終的に圧縮レンマとその帰結である一般連続体仮説の $\mathrm{ZFC}$ からの整 合性についての証明も誤りとなります. 理論 $\rm{BS}$ は $L_\alpha$ での充足関係が $\Delta_1$ 論理式 で一様に表現出来ることを示すには弱すぎると思われます. この誤りは [5] [6] で言及されているように かなり有名なものだと思います. [1] で修正されなかった理由については分かりません.
なお [4] における誤りの内容や [5] [6] については以前 i-land さんに教えて頂きました.
私がかんちがいしていないことが確認出来たら著者に連絡をとりたいのですが, どんな手順を踏めば良いの やら.
[1] 新井敏康, 数学基礎論, 岩波書店, 2011.
[2] Kenneth Kunen, Set Theory, An Introduction to Independence Proofs, Studies in Logic and the Foundations of Mathematics, North-Holland, 1980.
(邦訳) ケネス キューネン著, 藤田 博司訳. 集合論—独立性証明への案内. 日 本評論社, 2008.
[3] Thomas J. Jech. Set Theory. Springer Monographs in Mathematics. Springer-Verlag, Berlin, 2003. The third millennium edition, revised and expanded.
[4] K. J. Devlin, Constructibility. Perspectives in Mathematical Logic, Springer-Ver-lag, Berlin-New York, 1984. (Perspectives in Logic より PDF で入手可能です)
[5] Lee J. Stanley Reviewed work(s): Constructibility by Keith J. Devlin Source: The Journal of Symbolic Logic, Vol. 52, No. 3 (Sep., 1987), pp. 864-867 Published by: Association for Symbolic Logic.
[6] A. R. D. MATHIAS, Weak systems of Gandy, Jensen and Devlin. (English summary) Set theory, 149224, Trends Math., Birkha user, Basel, 2006.
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てなさくさんのページでキューネン本 (『集合論 - 独立性証明への案内』ケネス・キューネン著, 藤田博司訳, 日本評論社, 2008年) の解答集作りプロジェクト ( http://tenasaku.com/academia/ ) が進行中です。私は全く貢献せず心苦しい状況なのですが、 昔勉強した 「玄妙基数 (ineffable cardinal)」については愛着があるので、それに関する問題を解くことにしました。 一番難しい $\diamondsuit(\kappa)$ についての問題はすでに調べたことがあります。したがって実質解く 必要があったのは $\neg\diamondsuit^{\ast}(\kappa)$ に関連する問題のみです。参考文献をあたると $\neg \rm{KH}$ 関連の証明をまねすれば良いみたいです。ところがそんな必要なかったです。解答を見れば 分かるようにほとんど自明です。$\neg \rm{KH}$ 関連にこだわり難しく考えすぎてかなり時間かかりました。 情けない。それからしっかり忘れていた玄妙基数や $\neg\diamondsuit^{\ast}(\kappa)$ の定義を把握する のに時間がかかりました。これからはもう少し問題を解いてアップしたいところです。勉強しなくては。 Twitter にも書きましたが、数学の教科書は演習問題の解答が記載されていない場合が多く、本文だけでさ え十分難しいので、なかなか演習まで手が回らないというのが実情だと思います。したがってこのような試 みは非常に有意義で良い前例になるのではと思います。
(解いた問題) 第VI章 演習問題 [17]
コメント_ゼルプスト殿下 [もちろん、一問だけぢゃ勘弁しませんわよ。]
_かがみ [はい。でも今日は新井さんの本を読んだので出来そうにないです。とにかく時間を見つけ...]
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