02/25 aiueo 01/01 かがみ 01/01 ゼルプスト殿下 01/01 かがみ 01/01 ゼルプスト殿下 05/10 かがみ
12月29日に終わったと書きましたが実はほんの少し飾りの部分で残件があった のです。どうでもよいと思って来年延ばしにするつもりだったのですが、30日 の22時頃に偉い人から呼び出しが来ました。疲れが限界だったのでもうやめちゃ おうかと思いました。とはいうものの私の分が「完全に」完成しないとその先 が進まないみたいなのです。一応商品なので飾りの部分も無しというわけには ゆきません。仕方なく30日未明は自宅で徹夜。その後10時から24時まで作業し てこんどこそ完全なものが出来上がりました。
16時過ぎに疲れが限界になりやけおこして「この日記」削除しちゃったり Twitter でばかなこと書いてて色々ご迷惑をおかけしました。申しわけござい ません。そんなこんなで今日集合論雑記の更新を行うことができなくなりまし た。ごめんなさい。特に面白い話題ではないと思いますが近々何らかの更新を 行いたいと考えています。
仕事で疲れが極限だったのもあるけど集合論雑記更新の予定が狂ったのもばか やった原因の一つです。反省しています。ごめんなさい。
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昨日本年の仕事全部終わりました。会社休んで終わらせました。本当に終わる とは信じられなかったのですが終わりました。わーい。今日は仕事納めなので すがお休みにします。会社一散乱した机とその周辺はどうなるのだろう。考え ないことにします。実は本日早朝 (今です) イーストン強制のところ全部読み ました。でもまだ分かってないかも。今日から明日にかけてもういちどきちん とまとめて大晦日、最悪でもお正月に集合論雑記の更新ができるかも知れませ ん。あてにはなりません。にしても仕事のストレスから解放されるとこれほど 勉強がはかどるとは。意外でした。
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今土曜日の22時です。明日の朝まで仕事します。つかれたよお。
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もう二十日以上休んでないのですが明日も仕事です。下手するとあさっても。 そもそも私にお正月という概念は存在するのだろうかという疑問がわいてきま した。間違いなくクリスマスという概念は存在しませんでした。すみませんが こんな状態では大晦日恒例集合論雑記更新は無理です。ごめんなさい。
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今日と明日も仕事です。いやはやなかなか収束しません。無限遠点を導入して そこに収束させたいくらいです。無限遠点ってもちろん納期が無限に後のこと です。もちろん入金は有限時間内ということで。そんな都合のよい話があるわ けありませんか? ありませんね。どちらにしても明日からの週の木曜日までに 完全なプログラムを作成する必要があります。機能的には完成しています。あ とは飾り。かざりです。それが面倒なんです。
こんな状況ですとクリスマス前後はパニック状態 (すでに精神的にはパニック になっている) なのであきらめるとして、大晦日には集合論雑記の更新をした いものです。本年は昨年の「玄妙基数 (ineffable cardinal)」 のような余り 知られていないけれど興味深いネタがありません。最近勉強していることを、 といっても強制の復習なのですが、まとめてみようかなと思っています。挫折 の可能性も多いにあります。なにかリクエストがありましたがコメントに記載 していただけるとうれしいです。もちろん能力の範囲外のことは書けませんが、 簡単でも面白そうな話とかあれば聞かせてもらいたいと思っています。
コメント_てなさく [基本的なところはすでにひととおりカバーされてますよね。イーストン強制はまだでした...]
_かがみ [強制に関しては連続体仮説の否定で喜んじゃって全然勉強すすめなかったのは大失敗でし...]
今日はつくば出張です。今つつくば駅です。これから研究所で打ち合わせです。 つまんなくてすみません。
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今日も仕事しました。10年前と違って夜の11時まで毎日仕事というのは無理な ので土日で稼ぐしかないのです。今の仕事もあと一週間くらいで一段落しそう です。
お正月は絶対に二週間休む。そもそもまだ夏休みがあるのだ。
集合論の勉強を毎日少しずつというのは続いています。早く Devlin [1] に戻 りたいのですが Kunen [2] の強制法のところが余りにいいかげんでさらに忘れ ているのでそちらに専念しています。あ。これ前の日記にも書いたではないか。 でも毎日二時間くらいって大きいです。だって平日一週間で10時間。一年で 500時間ですから。勉強の速度が忘却の速度に追いつけるかどうかが勝負なんで す。
話はかわりますが てなさくさんの2009年12月5日の日記 の奥さまの解釈面白すぎです。おそるべし乙姫様。
[1] K.J.Devlin, Constructibility. Perspectives in Mathematical Logic, Springer-Ver-lag, Berlin-New York, 1984. (Perspectives in Logic より PDF で入手可能です)
[2] Kenneth Kunen, Set Theory, An Introduction to Independence Proofs, Studies in Logic and the Foundations of Mathematics, North-Holland, 1980.
(邦訳) ケネス キューネン著, 藤田 博司訳. 集合論—独立性証明への案内. 日 本評論社, 2008.
コメント_てなさく [乙姫様の件、どうも妻ひとりの感想ではないらしく、学芸会で乙姫様役をやりながら「振...]
_かがみ [あ。てなさくさんは学芸会で乙姫様の役をされたことがあるのですか。知りませんでした...]
_てなさく [確か幼稚園でやりましたが、てなさくは若布か昆布かなにか、とにかくとてもツマラナイ...]
_かがみ [幼稚園や小学校の学芸会って全然覚えていません。よほど関心がなかったのだと思います...]
_通りすがりさん [ピアノの発表会でキングギドラにいじめられるって...曲は伊福部昭の「ゴジラ」か何...]
_てなさく [すみません上の「通りすがりさん 2009-12-14 12:51:38」は「通り...]
_かがみ [ピアノ教室はモカちゃんがおなかの中にいたころからずっとお世話になっています。モカ...]
_てなさく [かがみさんがモカちゃんにメロメロな理由がとうとうわかりました。やはりモカちゃんは...]
_かがみ [おなかの中にはいませんでしたが、真の由来の話をするととても嫌がります。ところで本...]
_てなさく [よこたま銀行・・・ 失礼しました。]
_かがみ [たまらんです・・・ 失礼しました。]
昨日の日記に書いたように [1] であいまいだったところや飛ばしたところで面 白そうな部分を読み直しています。以前難しいと思った部分が今は比較的容易 に解読可能になっているのが楽しいです。難しいのばかりだとさすがにうんざ りする場合もあるので復習をかねて [1] を読みつつ新しい勉強をするのは非常 に良い感じです。情けないことに強制の繰り返しの部分を読んでいたら、もっ と基本の部分でかなりいいかげんな部分が多数あることが判明しました。ほん と全然分かっていないのです。自覚しています。昨日も書きましたが平日に一 時間から二時間の勉強をするのは大きいです。基本があいまいな状態でむずか しこと分かるわけないですから。一日おきに [1] と [2] を交互に読むの も良いかも知れません。
[1] Kenneth Kunen, Set Theory, An Introduction to Independence Proofs, Studies in Logic and the Foundations of Mathematics, North-Holland, 1980.
(邦訳) ケネス キューネン著, 藤田 博司訳. 集合論—独立性証明への案内. 日 本評論社, 2008.
[2] K.J.Devlin, Constructibility. Perspectives in Mathematical Logic, Springer-Ver-lag, Berlin-New York, 1984. (Perspectives in Logic より PDF で入手可能です)
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生きています。ちゃんと生きています。元気です。最近平日でも一時間か二時 間くらい数学の勉強をする習慣がつきました。とても良いことです。三週間前 位に購入した万年筆と弱ダイアモンド効果です。万年筆で数式を書くのは快感 です。もっと前に気がつけば良かった。最後に万年筆を使ったのが高校生の頃 です。もし大学で万年筆を使っていればもっと出世していたかも知れません (嘘) 数学の方ですが基礎がなっていないのは重々分かっているので平日気楽に [1] を読みます。そしてまとまった時間があるときに Constructibility を読 み進めようかと考えています。[1] 分かってないところたくさんあります。な さけない。でもこの頃 [1] にしてもその他のテーマについても楽しくて仕方な いです。進みかたは遅いのですがこんな調子が続けば良いなと思っています。
[1] Kenneth Kunen, Set Theory, An Introduction to Independence Proofs, Studies in Logic and the Foundations of Mathematics, North-Holland, 1980.
(邦訳) ケネス キューネン著, 藤田 博司訳. 集合論—独立性証明への案内. 日 本評論社, 2008.
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とにかく全部証明を追いかけました。全然理解していませんがとにかく読みました。 ひとまずおしまいとしてまた Constructibility の -ススリン木のお話に戻ります。というか肉体的にも精神的にもぼろぼろな状態 なので今日はお休みにしようと思ったのですが、トラブルがあって15時頃まで 働きました。疲れました。今死ぬとちょっと困るので、時間的な余裕はないの ですが明日と明後日は完全休養とします。もちろん数学の勉強は休養の一部で す。
たかたにさんに Twitter のクリスマスアイコンを作って頂きました。 とてもうれしいです。ありがとうございます。
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まだ弱ダイアモンドについて読んでいます。少し分かったかも。あと一日図を 書いたりしてひとまず終了とします。情けないことに強ダイアモンド のこと忘れている。強ダイアモンドはここだけの言葉です。たぶん。
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昨日つくばでの会議が終わったら。「かがみさん。ちょっと動きが変」という お話がありました。バグみたいです。分かってしまえば自明な原因だったので すがお約束で解明に時間がかかりました。一晩つくばに泊まりました。今日の 12時半ころ府中の会社に戻りました。美女三人とお昼ご飯を食べる予定だった のにキャンセルです。残念。明日もあさってもお仕事です。
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今日はつくば出張です。一昨日から昨日にかけて弱ダイアモンド (weak diamond) 原理と が同値であることの証明を読みました。まだ理解はしていません。いつものこ とです。難しいというより順序数から 2 への関数の列を色々な側面から眺める のに混乱している状態だと思います。何回か読めば証明のこころが分かるよう になると思います。たぶん。
コメント_くるる [あの証明は、他の集合論の研究者も難しいとかわからないとか言っているので、やっぱり...]
_かがみ [弱ダイアモンドについては一つ一つのステップは追えるのですが、結局何をしているのか...]
なんか三連休も仕事になっちゃったんですが生きています。つまんなくてごめ んなさい。
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もさすがに苦しかったので病院に行ってきました。いつも通っている心療内科 の先生のところです。大塚 (池袋の近く) なので少々遠いのですがなんといっ ても 22年間お世話になっている先生なので安心です。
喘息じゃなかったです
病名ですか?恥ずかしくて言えませんが、先生の所に行ったとたん息苦しさが なくなりました。精神的な要因です。こんど苦しくなったらセルシンを少し多 めに飲めば良いそうです。難しい病気でないと分かった安心感なのでしょうが 病院から戻っても症状は出ません。わがままばかり言ってご心配おかけいたし ました。反省しています。ごめんなさい。
コメント_たかたに [顔を見ただけで治ってしまうとは、ひょっとして伝説の名医?]
_はやし [何にせよ、大事ではなく、よかったです。]
_かがみ [精神的な問題なのでそうなったみたいです。てゆうか、すみません。「伝説の名医」のネ...]
_かがみ [ありがとうございます。はやしさんだけにこっそり教えちゃいますが、「仕事のストレス...]
本日未明から咽と気管支と背中が苦しくなったリ楽になったり。痛みはありま せん。咳も出ません。熱もありません。呼吸困難でもありません。でもひたす ら苦しいです。今はこれを書いている位ですから楽です。実は20年ほど前に咳 が止まらない喘息になってかなり苦しんだのですが、咳が出ないのと背中も苦 しい分今回の方がつらいです。
明日も改善しないようならば月曜日病院に行きます。
恐らく先週のインフルエンザが引き金になったと思いますが、いやはや人様の ありがたい忠告を素直に聞いて病院に行っとくのが正解だったに違いありませ ん。反省しています。
20年前は2年くらい苦しんでいたのが、とある非西洋医学の「健康食品」との相 性がよかったらしく (奥さんが見つけてきた。いんちきとそれなり効果がある のを見分ける天賦の才能があるようだ)、それを一週間くらい飲んだら楽になっ て、一月くらいで簡単に治りました。もちろん私は医者ではありませんし、 「健康食品」が効くかどうかなんて相性や偶然ですから、人様に薦めたりする ことはありません。
仕事がどんどん遅れていく。困った。でもなんとかなります。たぶん。
コメント_miya [僕も咳が2004年ぐらいから咳がとまりません。だいたい冬に風邪をひいた後にはじま...]
_miya [僕も咳が2004年ぐらいから咳がとまりません。だいたい冬に風邪をひいた後にはじま...]
_miya [すみません二重投稿していしまいました。ごめんなさい]
_igaris [私には何もできませんが、かがみさんの一ファンとして、とても心配しています。どうか...]
_かがみ [miya さん。咳は全くでないし呼吸困難という感じでもありません。ひたすら咽から...]
_かがみ [igaris さん。え。ファンなんですか。ありがとうございます。仕事の方はかなり...]
_標準モデル [気管支の周径には日内変動があって深夜〜早朝に最も気管支が狭くなるので、喘息を含む...]
_通りすがり [>喘息かも喘息ですな。といってる私は、オシッコが近いです。世の中にこういう人は多...]
_かがみ [たしかに夜間の方が症状が悪化する感じです。明日はちゃんと病院に行きます。ご心配頂...]
_かがみ [ですか。トイレは半日くらい大丈夫だったり30分に一度だったり結構変動があります。...]
_結城浩 [結城はずいぶん以前、咳がずっと続くのを放置して、肺に負担を掛けて入院に至ったこと...]
_かがみ [今日病院に行ってきました。おかげさまでたいしたことないようです。どうもありがとう...]
生きています。さらに先週一週間休んだので元気です。とはいえ一週間休んだ つけは大きく、明日と明後日もお仕事の予定です。数学のお勉強をする時間を 確保するのはちょっと大変かも知れません。
休み中に fine structure の勉強に入る準備としてススリン木の復習をしまし た。 の場合の -ススリン木の存在証明がよく分かってなかったので復習しました。今度は少し 分かったかも。すごく後戻りのようですが の場合がいいかげんでは一般の の場合なんて分かるわけがありません。副産物として が正則基数の場合 -ススリン木の存在証明は の場合と全く同じということが分かりました。忘れないようにしないと。スス リン木が好きになってきたのが大収穫です。ススリン萌え。とりあえず □-原理を仮定して が特異基数の場合の存在証明を読みたいです。Fine structure 自体の勉強はい つになったら始まるのだろう。でも Constructibility とは相性が良いみたい でゆっくりゆっくりですが進んでいます。L のこと存外好きなのかも知れませ ん。ゲーデルが好きなのかも知れません。
コメント_てなさく [「V帝国と清楚清純ウルトラぱわぁの物語」シリーズ化にも期待]
_かがみ [ススリン姫、アロンシャイン姫、クレパ姫でしょうか。クレパは微妙です。悪役になるか...]
_結城浩 [召喚されました。…けどさっぱりこのレベルにはついていけませーん。うにゃ。]
_かがみ [すみません。なんか調子に乗ってお呼び立てして。今回の内容はマニアック過ぎてもちろ...]
_通りすがり [コドモの頃、母親に「知らないオジちゃんについていっちゃいけませんよ」と言われたの...]
_かがみ [大丈夫です。公理的集合論のオジちゃんはみんな優しいですから。]
表題からも分かるように、ゲーデルの不完全性定理を主題とした内容の本です。 主な読者層は中学生と高校生を意識していると思いますが、大人でも十分楽し める内容です。大人のほうが楽しめるかも知れません。実はゲーデルの不完全 性定理自体がそうなのですが、本書を読むのに余り予備知識は必要ありません。 そうは言ってもレヴューアの依頼を頂いたとき「いくらなんでも不完全性定理 を中高生に分かりやすくさらに十分な厳密さで説明するのは難しいのでは」と 思ったことは事実です。
ところが本書ではそれがほぼ完璧な形で行われています。
もちろん厳密性や証明に関して細部を省略した部分はあります。しかし「分か りやすくするため」の言葉のマジック (これはゲーデルの不完全性定理の理解 に関して致命的な誤りとなる可能性があります) は一切使われていません。一 般向けの書物としてこれ以上の厳密さは望めないと思います。
(第1章 鏡のモノローグ) のっけから章題が良いです。良いです。とても良いで す。この章は「僕」と「ユーリちゃん」が登場しパズルで遊んでいます。パズ ル自体はそれほど難しいものではありませんが、論理的に考えることの良い導 入になっています。さらにパズルの内容は後の章の伏線になっています。「僕」 のお母さんも登場しとても良い味を出しています。
(第2章 ペアノ・アリスメティック) ミルカさんも登場しペアノの公理系の入門 です。正確に言うと 1 を定数記号、プライム記号を関数記号とするペアノの公 理を満たす標準モデルの入門となっています。加算については本文、乗算につ いては最後の「僕のノート」に記載されています。この部分に関しては理論と モデルの相違や関数記号についてやや妥協した面があると思います。いや。ぶっ ちゃけ「妥協」の意味が分かる人には全く問題ないし、分からない人は本書を 全部読みその時点で考え直せば良いのです。この段階で一階述語論理について はまだ学習していないので余り細かくうるさいことを書くとそれだけでいやに なってしまいます。中高生や数学を専門としない普通の人にとって、「公理」 以外を全く使わず「形式的」に推論を進める非常に分かりやすい入門となって います。数学的帰納法の説明も非常に分かりやすいです。数学的帰納法にかん する二つの考え方がこっそり書かれているのも楽しいです。
最後にユーリちゃんが鋭い発言をします。この一言でユーリちゃんのファンに なりました。
(第3章 ガリレオのためらい) テトラちゃんも登場し集合の入門です。ごくごく 基本的な概念の導入、外延的記法、内包的記法の説明からラッセルのパラドッ クスへの言及があります。そして全射、単射、全単射の概念から無限集合の定 義とそれらの等濃の定義へと進展します。自然数から有理数、実数、複素数へ いたる数の拡張との対比がとても興味深いです。
(第4章 限りなく近づく目標点) 極限のお話です。本章では直観的な極限の説明 なのですが、0.9999... = 1 ? を導入とするのはうまいなあと思います。有限 和の極限としての「無限級数の和」も扱われています。等比級数を使った具体 的な説明はとても分かりやすいです。「無限級数の和」は「全部足した」もの ではなくきちんと定義された極限であることも強調されています。
(第5章 ライプニッツの夢) ライプニッツの壮大な構想を導入として命題論理の 形式的体系を扱っています。お約束といえばお約束なのですが A → B の意味 というか定義についてかなりのページ数使って説明されています。命題論理の 公理とは何か? 証明とは何か? 定理とは何か? いずれも厳密に扱われていま す。普通に命題論理を使うときに誰でも意味を考えると思います。もちろん私 もそうです。この章では「形式的に考える」ことの入門として「意味を考えな い」重要性が何度も強調されています。最後に「僕」が一見して明らかな命題 を試行錯誤で証明する過程を楽しむことができます。
本章を読むと数学とは何かという観点については著者と私の間にはやや見解の 相違があるようです。それもまた楽しいです。
(第6章 イプシロン・デルタ) 実はレヴュー中に読んだとき「なんでこんな簡単 なこと」と余り真面目に読みませんでした。ごめんなさい。反省しています。 ε-δ って難しいのです。普通には知られていません。私も最初苦労しました。 本書の主な読者層で ε-δ を知っている人は少ないに違いありません。もっと も「なんでこんな簡単なこと」と思ってしまったのは著者にも責任があります。 説明が懇切丁寧で分かりやす過ぎるのです。読み直してみると説明の明快さ、 丁寧さいずれも素晴らしいです。これから勉強される方はもちろん、一度 ε- δ で挫折したという方にもお薦めです。最後に ε-δ の威力を教えてくれる とても良い例が記載されています。
(第7章 対角線論法) そういえば「僕」「ミルカさん」「テトラちゃん」「ユー リちゃん」の会話について全然書いていません。楽しかったり感動的だったり 微妙な状況になったり色々あるのですが今日は数学に関連したことを主に書き たいのと、そちらの方面の感想文は苦手なのでほとんど言及しないことについ てはご容赦の程お願いいたします。
可算集合の定義。ユーリ整数 (普通の整数です) 全体の集合が可算であること。 ユーリ数全体の集合が可算であることの証明を導入として、カントールによる 実数の非可算性についての証明が行われます。カントールの証明については 「間違えている例」、例えば一見全部の実数を「列挙」しているように見えて 本当は有限小数しか列挙していない等の誤りに陥りやすい実例についても、そ の誤りについての分析が行われています。テトラちゃんの「実数 B が一覧表に ないなら、追加しちゃえばいいのでは?」 (202ページより引用) という疑問に 対しては「すでに全部列挙したのだから追加することはできない」が簡潔で良 いと思いますが、著者はさらに詳しく説明する必要性を感じられたようです。 それとも不完全性定理の「公理を追加すれば」とのアナロジーを考えられてい るのでしょうか。
後半は形式的体系を分析する超数学についての話題です。「理論での決定不可 能な文」「理論の完全性」「理論の不完全性」について詳しく説明されていて とても分かりやすいです。そしてゲーデルの不完全性定理の結果について言及 しいよいよ論理式や証明のコード化へと進展します。コード化された自然数が 公理であることの判定、証明であることの判定等が具体的な手段で得られるこ との重要さにも十分配慮されています。一つの自由変数をもつ論理式の対角化 もここで登場します。不完全性定理に関連する概念が一気に登場しわくわくど きどきです。ここまでくれば最後まで読み通すしかありません。
ミルカさんのちょっと意外な面も楽しめます。
(第8章 二つの孤独が生み出すもの) 本章は自然数を既知としてユーリ整数とユー リ数を「作る」話題です。前の二つの章がかなり重厚な内容だったので少しほっ とするところです。著者の本では (って数学ガールしか知らないのですが)、難 しい章がいくつか続くと、突然ほっとする章がいくつか配置されている場合が 多いのです。著者が意図しているかどうかは分からないのですが、この配置に より全体の流れがとても良くなっていることは事実だと思います。
ほっとすると書きましたが、数学なんて専攻していないと「有理整数」や「有 理数」を「作る」という考え方はとても新鮮に感じられると思います。
最後のお母さんと「僕」の会話は大好きです。「僕」はこんなに素晴らしいお 母さんに育てられたのでモテモテなのでしょうか。
(第9章 とまどいの螺旋階段) あ。ユーリちゃんが怒ってる。本章は三角関数の 話題です。この章もほっと一息という感じです。弧度法や三角関数の基本的な 話題なのです。私の考えすぎなのかも知れませんが、著者は最後の節での「僕」 と「ミルカさん」の会話を読者に訴えたかったのではと思っています。
(第10章 ゲーデルの不完全性定理) 大作です。力作です。見事です。素晴らし いです。本章を読む前は各種概念が帰納的に定義される部分は直観的に外観を 与えて省略し、コード化、表現可能定理、対角化定理を主題とした証明になる のかなと思っていました。ところが実際に読んでびっくり仰天。表現可能定理 については結果のみ言及されていますが、例えば「x は証明図で y は最後に現 れる文」等が帰納的に定義されることの証明がすべて厳密に書かれています。 普通余りに面倒なので「こんな感じで『計算』すれば良いので」と省略しちゃ うんです。著者のゲーデルに対する敬意と誠実さを感じました。
現実には中高生がこの本を読み始めて10章を完全に読みこなすのは難しいかも 知れません。でも分からない部分があっても面白さは十分伝わると思います。 20世紀の偉大な結果なんてすぐに分かるものではありません。本書を何度も読 み直したり、参考文献を読んで少しずつ理解が深まっていくものだと思います。
以上感想文を書くつもりだったのですが評論みたいになってしまったかも知れ ません。ごめんなさい。本書を読み直して感じたことですが、とても全体の流 れが良いのです。一見「不完全性定理と関係ないのでは」と思わせる内容が後 になって本質的に重要であると分かる場合も多々あります。「ゲーデルの不完 全性定理の主題による変奏曲」の趣があります。最後の章はさしずめ「大フー ガ」ですね。著者の構築力に敬意を表します。
著者は大胆さと繊細さが見事に融和している方なのかなと思います。ゲーデル の不完全性定理という主題をあえて選択する大胆さ。そして内容的には絶対に 妥協しない強い意志と繊細さを兼ね備えている素晴らしい方です。個人的なこ とになりますが、とても楽しく面白い本を読むことができ、さらに尊敬する人 とお付き合いさせて頂く機会を得られたことはとても幸せでした。
コメント_emk [ユーリ整数とユーリ数というのはわざと書いてるのでしょうか。「有理整数」「有理数」...]
_てなさく [てなさくはテトラちゃん派。と聞かれもしないのに宣言。]
_結城浩 [素晴らしい感想をありがとうございました!]
_通りすがり [>いくらなんでも不完全性定理を中高生に分かりやすく>さらに十分な厳密さで説明する...]
_かがみ [emk さんこんにちは。ユーリ整数やユーリ数はもちろんユーリちゃんにかけています...]
_かがみ [あ。てなさくさんはテトラちゃん派ですか。それは良かった。てなさくさんとライバル関...]
_かがみ [結城さんへ。もう少し面白さが伝わる内容になれば良かったのですが、少々力不足だった...]
_かがみ [「言葉のマジック」って余り深く考えないで書きました。余り深く追求しないで下さい。...]
_通りすがり [ご安心を、私が不完全性定理の”正しい間違え方”に勝手に興味を持ってるだけですから...]
昨日の晩38度位熱が出ました。現在38度5分位です。頭が少し痛いです。咽が少 し痛いです。咳が少し出ます。体の節々が少し痛いです。あんまり辛くはない です。病院に行くのも面倒なので家でごろごろしています。インフルエンザの ような気もしますがそれにしては症状が軽いような。こんなの書いている位で すから全然たいしたことないです。とはいえ無理に人様にウイルスを進呈する 必要もないので、熱が下がるまではおとなしくしています。
コメント_miya [お大事に]
_てなさく [悪いことは言わないから医者に行ったほうが・・・]
_かがみ [ご心配おかけして申しわけございません。絶対的に信頼しているかかりつけのお医者さん...]
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