この文章は 2002年11月7日に谷山浩子メーリングリストに投稿した内容に若干 手を加えたものです。
猫森集会終わりましたね。スタッフの皆様お疲れさまで ございました。 それにしてもBプログラムの「七角錐の少女」素晴らしい 演奏でした。石井AQさんの熱演が印象的でした。
それで、七角錐といえば、母線(頂点のとんがったところから 出ている線)が 7本あるわけであって、これをばらして座標軸 だと思いましょう(^^;。
そうすると座標軸が 7本出来るわけでして、なんとびっくり 7次元空間ができますね。
e1=(1,0,0,0,0,0,0) e2=(0,1,0,0,0,0,0) e3=(0,0,1,0,0,0,0) e4=(0,0,0,1,0,0,0) e5=(0,0,0,0,1,0,0) e6=(0,0,0,0,0,1,0) e7=(0,0,0,0,0,0,1)
これが基本座標となるわけです。ところで、最近うわさにきく 「ひも理論」だか「M理論」によると、この世界って普通の 4次元(時間を含む)以外にとっても小さく折り畳まれた余分な 7次元の「コンパクト」空間がたたみこまれていて、実質的には 11次元と考えると都合が良いようです。
さすが浩子さん。宇宙が11次元空間なんてすでにこの時代に 見通していたのですね。
実はここからが本題でして(^^;「七角錐の少女」の歌詞の一部を 引用させて頂きますと
「歩いても歩いてもたどりつけない君の家」
という部分があります。本当のことを言いますと「七角錐の少女」 の家まではなんとかたどり着くことが出来たりします(^^;。
少女の家はいくらなんでもそんなに離れていなくて、少年が いる場所を中心とした七次元空間の半径 2Km の「球」の内部に あるとします。ここで「球」という言葉は 2次元の場合「円」で 3 次元の場合普通の球でして、一般に「n 次元の球」というのを 考えることができます。7 次元の場合の方程式は、
x1^2 + x2^2 + .... x7^2 <= 2^2
少年はこの中で少女の家を探すのですが、少女の家に なかなかたどり着けないのでちょっとやけになって ラリっていたりします(^^;。それで、
(1) 一回に1メートル位進む。 (2) 家までの距離が 3メートル以内になったらたどりついたとする。 (3) いくらラリっていても、すごく何回も通った場所から 半径 1 メートル位は避けて通る程度の学習はする。
こんな風にふらついていると 3次元の場合と同様に、 有限の場所をふらつくので、いずれどこかの近くを 何回も通る様になります。 それで、そこを避けて通るようになれば、同様に別の場所を 何回も通り、というわけでいずれ少女の家の近くにたどり 着くのです。いやー、よかった〜(^^)/。
だけど、本当の問題は家に着いてからなのです(=_=)。
少女の家は円錐で出来ていますね。上の論法で行きますと円錐だと 無限の母線を持つと考えられます。母線をばらして全部座標軸と 思いますと、可算・非可算など難しいこと(^^;を考えなければ、
e1=(1,0,0,0,0,0,0,0,0,0,... e2=(0,1,0,0,0,0,0,0,0,0,... e3=(0,0,1,0,0,0,0,0,0,0,... e4=(0,0,0,1,0,0,0,0,0,0,... e5=(0,0,0,0,1,0,0,0,0,0,... e6=(0,0,0,0,0,1,0,0,0,0,... e7=(0,0,0,0,0,0,1,0,0,0,... e8=(0,0,0,0,0,0,0,1,0,0,... e9=(0,0,0,0,0,0,0,0,1,0,... ...
ってな感じで無限の基本座標がとれるわけでして、こりゃなんと 無限次元空間ですね。それでも半径 2Km の「球」の内部という のは考えることが出来まして。
x1^2 + x2^2 + .... xn^2 + ... <= 2^2
という方程式で与えられます。ただし収束を考えたりする
必要はありますね。まー細かいことはどーでもいいや(^^;。
それで e1,e2,... は全部この「球」の内部に入ってます。
そこで、7次元の場合とおんなじ様に、ラリってふらついてれば少女の
いる場所にたどりつけるかといいますと、これがダメなのです(^^;。
たとえば e1,e2,e3,...,en,... ってな案配でふらつけば
無限の座標軸の回りをぐるぐる回っているだけで全然どこかの近くを
何回も通るなんてことは出来ません。
少女の家の中は有限の半径なのに無限の迷路状態なのです(^^;。
ちょっと真面目な言葉で表現しますと、
「無限次元ノルム空間は決して局所コンパクトでない」
という定理を説明したつもりなのですが(^^;。
それにしても七角錐の少女という歌はあたかも
「不思議の国のアリス」のように深遠な内容を
二つも含んでいたのですね(^^)。
1. 宇宙は 11次元。 2. 無限次元ノルム空間は決して局所コンパクトでない。